2011年10月19日

ブログ停止中に読んだ本1

再開に際して、イタリアの脱原発国民投票と現在進行中の原子炉解体・廃炉の問題や放射性廃棄物に関することなどを記事にしようと意気込んではみたものの、資料を読めば読むほどまとめるのに手間取ってしまって、記事に出来ずにいる。ということで、とりあえず、ブログを更新していなかった間に読んだ本の感想を書いておこうと思う。

『天使の報酬』 真保裕一著
いわゆる「外交官黒田シリーズ」の一つで、既にテレビドラマとして映像化されている「外交官黒田康作」の原作である。僕はドラマは見ていない。
ロサンゼルスで誘拐された日本の女子留学生の発見と保護が基本的な物語の流れなのだが、その過程で明らかとなるボリビア人の存在、そしてある薬剤の開発と許認可に関わる人物の登場など、それなりに面白い。読んでいると、かつての「小役人シリーズ」を彷彿とさせる描写などもあり、いい感じなのだが、せっかく登場するボリビアの話が中途半端だったり、もう少し突っ込んでくれよって部分もあって、ちょっと残念。
作者は、時代小説に力を入れているようだが、今だからこそ、かつての「連鎖」で扱った食品汚染の問題や「取引」で扱ったODAがらみの談合などの問題を、放射能汚染された食品や懲りずにまだやろうとしている原発輸出の問題などと絡めて、作品にして欲しいなと思ったりする。

『欧亜純白』・『カルテット』・『絆回廊』 大沢在昌著
手練のベストセラー作家で、非常に読みやすい文章で、物語世界に没頭できるし、読後感もそれなりのカタルシスを与えてくれるので、読んでない作品があると、ついつい手に取ってしまう作家の一人だ。
六本木から新宿へと物語の舞台を移しつつ、作品を書いているっていう印象があったのだが、しばらく前から、日本で暗躍する中国マフィアやロシアンマフィアが登場するようになってきていた。「欧亜純白」は、そんな物語の流れをぜーんぶ繋げてみましたって感じの作品だ。時代の流れというか、社会の変化に敏感に反応しつつ、作品を描いていくってのが、ベストセラー作家の必須条件なのかもしれないけれど、昔のような熱気というか、引き込まれ具合はそれほどない。荒唐無稽なあり得ないお話とは違って、いかにもありそうなお話だけに、リアリティがいまいちだと、没頭できないのかもしれない。
「カルテット」も、角度を変えて、同じ題材を扱っている作品と言っていいと思う。「欧亜純白」よりもずっと軽いので、さっさと読めてしまう。でも、「あー面白かった」っていう満足感はあまりないかな。
「絆回廊」は「新宿鮫字リーズ」の最新刊なのだけれど、これもまた以前のような、ページを繰るのがもどかしいというような作品ではなかった。
最近なんだかパワーが落ちてるのかな?

『ひまわり事件』 荻原浩著
彼の作品では「明日の記憶」が印象深いのだが、この小説もなかなか面白かった。
同族経営の老人ホームと幼稚園が舞台で、老人たちと子どもたちが主人公という、現代の高齢化社会と少子化社会を象徴するような舞台設定となっている。お受験を押し付けられる子どもたちだったり、介護を食い物にしようという経営者側の思惑なども絡んで、物語は進んでいく。なにが事件かというと、老人ホームに入居している団塊の世代=全共闘世代の老人の反乱だったりするのだが、この辺は、これから起こり得るかもしれないと思わせる題材だ。
老齢化・少子化社会と、老後に突入する団塊の世代の反乱っていうテーマは、これからも小説として出てきそうだし、別の視点からもう少しシリアスに描いたら、さらに面白くなるのではないかと思った。
posted by tady at 21:33| ローマ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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