2011年10月21日

ブログ停止中に読んだ本2

『月と蟹』 道尾秀介著第144回直木賞受賞作だそうだ。彼の作品はいくつか読んでいるのだが、いずれも暗い。なんか情念とでもいうものを感じる。
この作品は、鎌倉が舞台で、子供たちが主人公。でもその子供たちも、母子家庭の母親の再婚だったり、家庭内での虐待だったりといった問題を抱えている。そんな鬱屈した子供たちが向かうのは、海で捕まえてきたヤドカリを生贄にすることだったりする。
瑞々しい文体で子供たちの世界を描くなんていう爽快感はない。
むしろ、現代の子供たちが置かれている閉塞感みたいなものを強く感じる。それでも読んでしまうのは、子供たちの健気さだ。
小説という作り物ではあるのだけれど、、、、、
ただ、考えてしまうのは、3.11以降の被災地における子供たちの置かれている状況のことだ。
特に、放射能汚染が厳しい福島で、日々の生活を送っている子供たちのことを考えると、小説の比ではないと思ってしまう。
事実は小説より奇なりなんていうけど、今の政府や自治体の子供たちへの対応を見ていると、奇異を通り越してグロテスクでさえある。
この作品についてのインタビュー記事の中で(発行元の文芸春秋社のサイトhttp://bunshun.jp/pick-up/tsukitokani/にある)、作者はこれからも子どもを主人公にした小説を書いていきたいを述べている。
福島後の放射能汚染の中に置かれた子供たちの状況について、子供たちの視点から作品を書いてくれないかなぁーなんて思ってしまう。

『ばんば憑き』・『チヨ子』 宮部みゆき著
「ばんば憑き」は、時代物シリーズの短編集だ。相変わらず、ストーリーテラーとしての巧さを感じるが、作者の長編を読んできて人は、物足りなさを感じるかもしれない。
一方「チヨ子」の方は、現代物の短編集。今まで発表されてきた作品を、文庫本としてまとめたものだ。ベースにあるのは、初期の頃から、彼女が描いてきた超能力だったり、理解できない不思議な現象である。どの作品も、あり得ないけどあったら面白いなとか、もしかしたらあるかもしれないとう読者の心をうまーくすぐる。

『悪の教典』 貴志祐介著
この人の作品を評するのに、サイコって言葉がよく使われているように思うのだが、これもそういったアブノーマルな作品だ。
高校の一クラスの生徒を全員殺戮してしまう教師って話なのだが、この手の作品が、小説として成り立ち得ている(=印刷され発行され売られる)のは、思うに、「バトル・ロワイアル」があったからなんだろうなぁー。
「悪の教典」というタイトルならば、本当の「悪」とは、大量殺戮ではなくて、生かさず殺さず、人の生き血を吸って、自らの私腹を肥やしているような、今の政治家だったり、東電の幹部のことを描いてくれなきゃと思うのですが、、、
posted by tady at 22:13| ローマ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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