2011年10月21日

ブログ停止中に読んだ本2

『月と蟹』 道尾秀介著第144回直木賞受賞作だそうだ。彼の作品はいくつか読んでいるのだが、いずれも暗い。なんか情念とでもいうものを感じる。
この作品は、鎌倉が舞台で、子供たちが主人公。でもその子供たちも、母子家庭の母親の再婚だったり、家庭内での虐待だったりといった問題を抱えている。そんな鬱屈した子供たちが向かうのは、海で捕まえてきたヤドカリを生贄にすることだったりする。
瑞々しい文体で子供たちの世界を描くなんていう爽快感はない。
むしろ、現代の子供たちが置かれている閉塞感みたいなものを強く感じる。それでも読んでしまうのは、子供たちの健気さだ。
小説という作り物ではあるのだけれど、、、、、
ただ、考えてしまうのは、3.11以降の被災地における子供たちの置かれている状況のことだ。
特に、放射能汚染が厳しい福島で、日々の生活を送っている子供たちのことを考えると、小説の比ではないと思ってしまう。
事実は小説より奇なりなんていうけど、今の政府や自治体の子供たちへの対応を見ていると、奇異を通り越してグロテスクでさえある。
この作品についてのインタビュー記事の中で(発行元の文芸春秋社のサイトhttp://bunshun.jp/pick-up/tsukitokani/にある)、作者はこれからも子どもを主人公にした小説を書いていきたいを述べている。
福島後の放射能汚染の中に置かれた子供たちの状況について、子供たちの視点から作品を書いてくれないかなぁーなんて思ってしまう。

『ばんば憑き』・『チヨ子』 宮部みゆき著
「ばんば憑き」は、時代物シリーズの短編集だ。相変わらず、ストーリーテラーとしての巧さを感じるが、作者の長編を読んできて人は、物足りなさを感じるかもしれない。
一方「チヨ子」の方は、現代物の短編集。今まで発表されてきた作品を、文庫本としてまとめたものだ。ベースにあるのは、初期の頃から、彼女が描いてきた超能力だったり、理解できない不思議な現象である。どの作品も、あり得ないけどあったら面白いなとか、もしかしたらあるかもしれないとう読者の心をうまーくすぐる。

『悪の教典』 貴志祐介著
この人の作品を評するのに、サイコって言葉がよく使われているように思うのだが、これもそういったアブノーマルな作品だ。
高校の一クラスの生徒を全員殺戮してしまう教師って話なのだが、この手の作品が、小説として成り立ち得ている(=印刷され発行され売られる)のは、思うに、「バトル・ロワイアル」があったからなんだろうなぁー。
「悪の教典」というタイトルならば、本当の「悪」とは、大量殺戮ではなくて、生かさず殺さず、人の生き血を吸って、自らの私腹を肥やしているような、今の政治家だったり、東電の幹部のことを描いてくれなきゃと思うのですが、、、
posted by tady at 22:13| ローマ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月19日

ブログ停止中に読んだ本1

再開に際して、イタリアの脱原発国民投票と現在進行中の原子炉解体・廃炉の問題や放射性廃棄物に関することなどを記事にしようと意気込んではみたものの、資料を読めば読むほどまとめるのに手間取ってしまって、記事に出来ずにいる。ということで、とりあえず、ブログを更新していなかった間に読んだ本の感想を書いておこうと思う。

『天使の報酬』 真保裕一著
いわゆる「外交官黒田シリーズ」の一つで、既にテレビドラマとして映像化されている「外交官黒田康作」の原作である。僕はドラマは見ていない。
ロサンゼルスで誘拐された日本の女子留学生の発見と保護が基本的な物語の流れなのだが、その過程で明らかとなるボリビア人の存在、そしてある薬剤の開発と許認可に関わる人物の登場など、それなりに面白い。読んでいると、かつての「小役人シリーズ」を彷彿とさせる描写などもあり、いい感じなのだが、せっかく登場するボリビアの話が中途半端だったり、もう少し突っ込んでくれよって部分もあって、ちょっと残念。
作者は、時代小説に力を入れているようだが、今だからこそ、かつての「連鎖」で扱った食品汚染の問題や「取引」で扱ったODAがらみの談合などの問題を、放射能汚染された食品や懲りずにまだやろうとしている原発輸出の問題などと絡めて、作品にして欲しいなと思ったりする。

『欧亜純白』・『カルテット』・『絆回廊』 大沢在昌著
手練のベストセラー作家で、非常に読みやすい文章で、物語世界に没頭できるし、読後感もそれなりのカタルシスを与えてくれるので、読んでない作品があると、ついつい手に取ってしまう作家の一人だ。
六本木から新宿へと物語の舞台を移しつつ、作品を書いているっていう印象があったのだが、しばらく前から、日本で暗躍する中国マフィアやロシアンマフィアが登場するようになってきていた。「欧亜純白」は、そんな物語の流れをぜーんぶ繋げてみましたって感じの作品だ。時代の流れというか、社会の変化に敏感に反応しつつ、作品を描いていくってのが、ベストセラー作家の必須条件なのかもしれないけれど、昔のような熱気というか、引き込まれ具合はそれほどない。荒唐無稽なあり得ないお話とは違って、いかにもありそうなお話だけに、リアリティがいまいちだと、没頭できないのかもしれない。
「カルテット」も、角度を変えて、同じ題材を扱っている作品と言っていいと思う。「欧亜純白」よりもずっと軽いので、さっさと読めてしまう。でも、「あー面白かった」っていう満足感はあまりないかな。
「絆回廊」は「新宿鮫字リーズ」の最新刊なのだけれど、これもまた以前のような、ページを繰るのがもどかしいというような作品ではなかった。
最近なんだかパワーが落ちてるのかな?

『ひまわり事件』 荻原浩著
彼の作品では「明日の記憶」が印象深いのだが、この小説もなかなか面白かった。
同族経営の老人ホームと幼稚園が舞台で、老人たちと子どもたちが主人公という、現代の高齢化社会と少子化社会を象徴するような舞台設定となっている。お受験を押し付けられる子どもたちだったり、介護を食い物にしようという経営者側の思惑なども絡んで、物語は進んでいく。なにが事件かというと、老人ホームに入居している団塊の世代=全共闘世代の老人の反乱だったりするのだが、この辺は、これから起こり得るかもしれないと思わせる題材だ。
老齢化・少子化社会と、老後に突入する団塊の世代の反乱っていうテーマは、これからも小説として出てきそうだし、別の視点からもう少しシリアスに描いたら、さらに面白くなるのではないかと思った。
posted by tady at 21:33| ローマ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月10日

あるキング 読了

伊坂幸太郎の「あるキング」を読み終わった。
キングつながりってことで、図書館で借りてみた。
ある地方の弱小プロ野球球団の熱狂的なファンである両親が、生まれた自分の子どもを、その球団のスタープレイヤーとして育て上げるって話なんだけど、なにやら中途半端。黒づくめ怪しい人物たちや、殺人事件、今は亡き人の霊魂やら怨念やらも登場したりして、なにかしらの隠喩なのかなぁーなんて思うんだけど、分かり辛い。文体は伊坂らしく読みやすく、ところどころにキラリとした発想もある。例えば、9割バッターなんてのが出現したら、野球は面白くなくなるとか、、、、
でも、読後感は、なんだかなぁーってところ。
posted by tady at 21:15| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キング&クイーン 読了

柳広司の「キング&クイーン」を読み終わった。
以前読んだ彼の本「ダブルジョーカー」が、そこそこ面白かったので、図書館で見つけて借りてみた。
ある事情から警視庁のSPを辞め、六本木のバーで、用心棒をしている女性が主人公。
そんな彼女の元に持ち込まれたのは、アメリカ大統領から命を狙われているという元チェスの世界チャンピオンのボディーガードの仕事だった。
構成は、主人公がSPを退職するまでの事情を回想するかのような、元同僚たちとのやりとりと、チェスの世界チャンピオンの生い立ちが、交互に錯綜するもので、決して読みやすいものではないが、読み手を惹きつける仕掛けは十分。
最後は、なにやらはぐらかされたような気分。
読み終わって思ったのは、男性型、女性型が曖昧な日本語だから成立するストーリーだなってこと。
なんで?と思う人は、読んで見てください。
posted by tady at 21:02| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月03日

ふがいない僕は空を見た 読了

窪美澄の「ふがいない僕は空を見た」を読み終わった。この作品は5篇からなる短篇連作で、最初の1篇である「ミクマリ」は、第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞作品だそうだ。R-18ってだけあって、この作品は、高校生と、不妊に悩む暗い過去を持つコスプレ好きの主婦とのアブノーマルなセックス描写があるのだが、本全体としては、それは単なる導入部に過ぎず、読み進むうちに、性、妊娠、出産を巡る人間の有り様が浮き上がってくる。後半の2篇「セイタカアワダチソウの空」と「花粉・受粉」は、実に切なく、重い。
読み始めに感じた高校生の性を扱ったエロ小説って印象は、見事に裏切られ、良い作品を読んだなぁーという読後感が残った。
2011年の本屋大賞第2位になっているそうだが、それもうなづける。
posted by tady at 09:06| ローマ ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月23日

エデン 読了

近藤史恵の「エデン」を読み終わった。「サクリファイス」という小説の続編ってことだが、こっちは未読。
だから、正しい評価はできないのかもしれない。
ツール・ド・フランスを走る日本人サイクリストが主人公で、自転車レースにおける様々な駆け引きと、それにまつわる人間模様が描かれている。
前作を読んでいないので、なんとも言えないのだけれど、独立した作品として読んだ場合、ちょっと説明不足で、ひとりよがりって感じてしまう。まあ、ひとつの独特な世界を描いているのだから、基礎知識がないと分からないってのはあるのかもしれないけれど、、、
自転車レースを走る人間の心理描写は、そこそこ面白かった。ただ、どうも広がりを感じることができなかった。読者をぐいぐいと引きずり込むような、迫力に欠ける感じがした。
どうでもいい話を、力技で読ませてしまう作家ってのもいたりするわけで、それが良いとは言わないけれど、テーマがしっかりある作家のようだから、読ませるためのテクニックを磨くともっと面白い作品が書けるんじゃないかと思ってしまった。
posted by tady at 21:41| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ソロモンの犬 読了

道尾秀介の「ソロモンの犬」を読み終わった。2007年の作品なので、比較的初期の作品ってことになるのかもしれない。
この人、こういう作品も書くんだぁって感じで読み始めた。
主人公よりも、脇役である間宮のキャラクターが立っている。
伏せんはちゃんと張ってあるんだけど、最後はちょっとなんだかなぁーって感じ。
今まで、作中であまり語られてこなかった人物が突然登場して、犯人になってしまって、そりゃないぜ!って感じだった。
posted by tady at 21:26| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月11日

小暮写眞館 読了

宮部みゆきの「小暮写眞館」を読み終わった。いつものように、かなり長い小説だ。
そして、久しぶりに現代の少年が主人公になっている。
彼女の初期の作品には、少年を主人公にした、超能力ものの面白い作品があったのだけれど、久しぶりにそのカテゴリーに入る作品かもって感じの出だしで、読み出した。ところが、心霊写真をモチーフにした超能力ものかと思いきやさにあらず。
それぞれの登場人物は、生き生きとしているし、設定も巧みで面白いのだけれど、どうも話に一本の筋が通っていない感じで、ちょっと散漫な感じがしてしまった。
作品の世界に引き込まれてしまって、読み終わった後のカタルシスみたいなものを感じられなかったのだ。
悪くはないんだけどねぇ。
posted by tady at 11:01| ローマ 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

at Home 読了

本多孝好の「at Home」を読み終わった。普通ではあり得ない「家族」を描いた短篇4作品の本である。
いわゆる血縁ではない家族が主に描かれているが、読んでいると、これもありかもって思ってしまう家族の絆がいい感じに描かれている。
僕的には、「日曜日のヤドカリ」の弥生さんと「父親」の関係がとってもいいなぁーと思ってしまった。
世間には、子殺し、親殺しの事件が日常的に起きている一方で、今回の震災で大切な家族を失ってしまった人たちもいる。
そんな中で、あらためて、どうすれば家族になり得るのかってのは、考えてみるべき問題なのかもしれないと思っている。
僕だって、あと10年も経てば、独居老人の仲間入りをすることは、ほぼ間違いないと思うので、そんなときに、どのような人間関係を作っていけるのかってのは、かなーり深刻な問題になるであろうと予想されるわけで、小説という絵空事の中ではあっても、こんな家族があったらいいなと思わせてくれるのは、ちょっと嬉しい。
posted by tady at 10:51| ローマ 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月03日

砂漠の悪魔 読了

近藤史恵の「砂漠の悪魔」を読み終わった。要約すると、
大学生の恋愛ゲームが発端で、友人が自殺してしまった主人公は、その自殺の原因を作ったことをネタに、ヤクザに脅され、中国と日本の間の運び人をやらされることになる。
ヤクザから逃げるために、中国で知り合った日本人と中国の最深部まで逃走旅行を続けるのだが、奥地の砂漠で出会ったのは、、、
ってな感じになる。
もしこのプロットで、例えば船戸与一が小説を書いたら、もっとずっと面白いものになったと思うんだけど、どうも、軽いというか、描写が物足りないし、突っ込みが足りなくて、表層的な感じ。
そもそも、砂漠の悪魔が出てくる必然性がまったく感じられない。
ラストシーンも、取ってつけたような、説得力に欠けるものだった。
posted by tady at 09:53| ローマ | Comment(0) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月09日

抱影 読了

北方謙三の「抱影」を読み終わった。ひところ彼の小説は良く読んだのだが、最近はご無沙汰していた。図書館で目について、出だしを読んだら、どうやら横浜が舞台らしいってことで、借りてみた。ネットで調べたら、14年ぶりの書き下ろし小説なんだそうだ。
主人公は、横浜の中心部に酒場を5つ経営する中年男。しかしその一方で、画壇で評価が高まる抽象画家という顔を持っている。
いわゆるハードボイルド小説の小道具は満載。主人公が葉巻を吸ったり、バーでのウィスキーやカクテルの薀蓄話なども出てくるし、もちろんこういう主人公に欠かせない女も複数登場する。そしてヤクザとの関係。
こんなのあり得ないよなっていう設定の中で、主人公の生活がある種淡々と描かれる。見方によってはつまらない小説だ。
しかし、主人公が思いを寄せる人妻とのプラトニックな関係とか、抽象画に対する思いなど、読んでいてなにか引っかかるものがあった。
終わり方は、なんとんはく無理やりにハードボイルドにしてしまったって感じがあって、別にこういう風に物語を閉めなくてもいいんじゃない? って思ってしまった。
こういうどうでもいい内容の話を、読ませてしまう作家の力量ってのを感じた作品でもあった。
posted by tady at 11:36| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月03日

ブルー・ゴールド 読了

真保裕一の「ブルー・ゴールド」を読み終わった。久しぶりに、彼の初期の作品に近い雰囲気のある作品だった。
ブルー・ゴールドとは、青い金=水のことである。
水を大量に使う、半導体工場の建設予定地を巡って、大手商社や地元の町、市町村や県の役人などを巻き込んでの駆け引きに挑む、元商社員の経営するコンサルタント会社が、話の中心となっている。
ただ、かつての小説のようなスケール感は、あまりない。
ブルーゴールドをネットで検索したら、同名タイトルのドキュメンタリー映画も作られているらしい。これはこの作品とは関係ないようだが、製作されたのは2008年。小説の連載が始まったのが2009年と本に記載されているので、映画の方が先になる。
この映画も面白そうなので、機会があったら見てみたい。
http://www.uplink.co.jp/bluegold/
posted by tady at 10:50| ローマ ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月26日

ダブル 読了

深町秋生の「ダブル」を読み終わった。いわゆる荒唐無稽ないバイオレンス・アクション小説ですね。
死んだはずの主人公が、顔を整形して別人になったり、敵役まで、顔を整形して別人になっちゃったり、首都圏で、警察と派手な銃撃戦をやらかしたり、人もいっぱい死ぬ小説。
テンポは良いし、登場人物も多彩で、サクサク読めるけど、こういった手の小説は、若いころなら面白かったかもしれないけど、今はもういいやって感じ。
posted by tady at 11:07| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月21日

アダルト・エデュケーション 読了

村上由佳の「アダルト・エデュケーション」を読み終わった。「ダブル・ファンタジー」の流れを汲む作品と言っていいだろう。いわゆる女性の側から見た性愛と愛情について描いた小説である。
ただ、前作が一つの物語だったのに対し、短編集であるこの作品は、ひとつひとつの作品が扱うテーマに多様性はあっても、突っ込みがいまいちって感じで、物足りなさを感じた。
男の側から見れば、ふーん、女性はこんな風に感じているんだって発見もあったりして、そこそこ面白かったし、何より、いわゆるポルノ小説ではなく、文学作品(もっともその境は曖昧だが)として、女性が性愛の問題を積極的に描いているってことを評価したい。
この本のあとがきに、作者の姿勢が表明されている。
ただ、性的関係を持つことにより生じる妊娠や子供(子育て)の問題に関しては、まったく描かれていないので、続編としてそういった問題を扱った小説っていうのも読んでみたい気がする。
posted by tady at 10:58| ローマ ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月18日

親鸞 読了

五木寛之の「親鸞」上下を読み終わった。彼の作品は、「厳戒令の夜」とか「風の王国」とか、以前は良く読んでいたのだが、最近はあまり読んでいない。
百寺巡礼とか、仏教関係の著書がここのところ増えている感じがする。
僕は、これといった信仰を持っている訳ではないし、宗教ってものに胡散臭さを感じていたりするのだが、その一方で、例えばカトリックの修道僧だったり、禅宗の僧侶だったり、信仰に生きている人たちの在り方に惹かれるものがあるのも確かである。
というわけで、この本を手に取ってみた次第。
仏教の歴史なんてまったく知らないので、ひとつの読み物として読んだのだが、有名作家が書くだけあってスラスラと読めてしまう。
ただ、主人公(のちの親鸞)の心の葛藤などは、もう少し突っ込んで書いてもよかったのではないかと思った。
仏教の歴史の一端を、お話として、フーンそうなんだと言いながら読むには、面白かった。
posted by tady at 09:32| ローマ | Comment(1) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月14日

モルフェウスの領域 読了

海堂 尊の「モルフェウスの領域」を読み終わった。彼の作品は、最近食傷気味で、あんまり読みたいとは思わないのだが、図書館でこれといった本が見つからず、最新刊ってことでとりあえず借りてみた。
今までの彼の作品とは違って、近未来SF的な趣向が凝らされている作品ではあったのだが、正直に言って、あんまり面白くなかった。
売れっ子作家が作品を量産すると質が落ちていくっていうのを見てしまった感じ。
新境地を開拓するのであれば、もう少し練った作品が欲しい。
彼の作品は、もうしばらくは、読まなくてもいいかなって思ってしまった。
posted by tady at 21:51| ローマ | Comment(1) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月07日

下町ロケット 読了

池井戸 潤の「下町ロケット」を読み終わった。タイトルから想像して、下町の町工場のおやじさんたちがロケットを作る話かと思って読み出したのだが、そうではなかった。
国産ロケットエンジンの開発者であった主人公が、ロケット発射失敗の責任を取って辞任、父親の町工場を引き継ぎ、研究者から中小企業の経営者になる。その会社で開発したエンジン部品の特許を巡って、国産ロケットを開発しようという大手企業と熾烈なバトルが繰り広げられる。
素人にはまったく分からない分野なのだが、内容が真実かどうかは別にして、実に面白く読ませてくれる。
中小企業における資金繰りの話やら、特許裁判の裏側など、いかにもありそうな話で、ついついページを繰る手が止まらなくなってしまった。
久しぶりに、本を閉じるのがもったいないと感じる作品だった。
posted by tady at 10:12| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月01日

死ねばいいのに 読了

京極夏彦の「死ねばいいのに」を読み終わった。なんだか、大極宮のそろい踏みになってしまった感じだ。
彼の最初のころの作品は、分厚かったけど、だいたい読んでいた。ただ、ここ最近はあまり読んでいなかったので、図書館で目にして借りてみた。
派遣で働く若い女性が殺されて、生前の彼女について聞きまわる男が主人公。彼が話を聞きにいく、生前の彼女となんらかの関係のあった人々を追い詰めていき、最後に言う決め台詞が、「死ねばいいのに」なのだが、途中から、もしかしてって思い出して、読み終わってみれば、なーんだやっぱりって結末で、ちょっとがっかりだった。
でも、そこそこ楽しめた。
京極作品のキャラクター的には、榎木津礼二郎が、好きなんだけどなぁ
posted by tady at 17:36| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月26日

あんじゅう 読了

宮部みゆきの「あんじゅう 三島屋変調百物語事続」を読み終わった。読売新聞の連載小説として書かれたものだが、「おそろし 三島屋変調百物語事始」の続編にあたる物語となっている。宮部みゆきの時代物小説のシリーズのひとつだ。いろんのジャンルの小説を書く作家であるが、物語を紬出す力は、さすがである。
タイトルとなっている「あんじゅう」は第三話に収められている「暗獣」のことなのだが、なぜひらがなのタイトルにしたのか、作品を読むと納得できる。「くろすけ」の方がさらによかったのかもしれないけれど、、、まあ、宮崎駿の「トトロ」に出てくる「まっくろくろすけ」があるので、避けたのかもしれない。
以前、宮崎駿と司馬遼太郎、堀田善衛の鼎談「時代の風音」というのを読んだときに、闇に潜む物の怪の話があって、そこらじゅう灯りで照らされるようになって、昔は神社の暗闇などに潜んでいたはずの物の怪がいなくなってしまったというようなことを話していたのだが、まっくろくろすけもこの物語のくろすけも、まさにそのような、かつて存在した物の怪を描いているように思う。
そもそも、それらの物の怪は、人の心の中に存在するものであると思うのだが、この作品も、不思議な現象を語っているようでありながら、人の心の有り様を描いている。
本としては、新聞小説連載中に描かれた挿絵がふんだんに使われていて、ちょっと変わった装丁となっているのだが、その辺の事情は、読売新聞のサイトに理由が出ていた。
http://www.yomiuri.co.jp/book/feature/20100907bk02.htm

なかなか面白い作品であった。
posted by tady at 21:26| ローマ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月21日

黒の狩人 読了

大沢在昌の「黒の狩人」上下を読み終わった。彼の作品は、新宿鮫をはじめとして、比較的数多く読んでいるのだが、未読の作品だったので借りてみた。
主人公は、新宿署の刑事佐江。その彼が、特命で、公安がらみの中国人連続殺人事件の捜査に駆り出される。
パートナーは、これもまた上からの命令で、スパイ容疑のある中国人。そこに、外務省の女性ノンキャリアが絡んだりして、なかなかに複雑な設定になっている。
捜査する中で明らかになっていく、中国当局と日本外務省の駆け引きやら、東京の裏中国人社会(黒社会)と日本のやくざの取引など、実に盛りだくさん。
だが、手練の売れっ子作家、実に読みやすい。設定や主人公の心の動きなどに、多少無理はあるものの、それでも読ませてしまうのはさすが。
出だしでは、天安門事件で民主化を求めた中国の学生運動が出てくる。昨年のノーベル平和賞の受賞者のことなどが、思い浮かんで、お、これは珍しく政治がらみの小説? と思ったのだが、残念ながらそうではなかった。
エンタテイメントとして読むには面白かった。

posted by tady at 11:03| ローマ | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。