2010年07月28日

横道世之介 読了

吉田修一の「横道世之介」を読み終わった。
読み終わった後に、何とも言えない、淡い切なさを感じさせる作品だった。
長崎から東京の大学に出てきた横道世之介の1年間の話である。
読み始めてすぐに、いわゆる青春物の小説かぁと思ったのだが、読み進むうちに、読者をくすぐるような、後日談が挿入されている。
メインストーリーは、若き世之介の話なのだが、フラッシュバックならぬ、フラッシュフォワードのように、「その後」が語られることで、語られることのない、若き日々と後日談の間に横たわる20年という歳月に思いが引っ張られる。
昔から、行間を読むなんて言い方をされるのだが、それをさらに進めて、あえて書かないことで、その書かれなかった部分を読者に想像させるっていうのは、斬新なストーリーテリングの手法だと思った。
作家としてほんとうに力をつけつつある感じがする。
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2010年07月23日

ダブル・ジョーカー 読了

柳広司の「ダブル・ジョーカー」を読み終わった。
表題作を含む5編の短篇からなる作品だ。
どうやら、僕は未読なのだが、「ジョーカー・ゲーム」の続編ってことらしい。
第二次世界大戦前夜の諜報戦を描いているものだ。
かつて、影山民夫の「虎口からの脱出」って小説があって、その書評のひとつに、戦前の上海租界を舞台としたスパイ小説という設定が、日本のスパイ小説にとっては、もっとも創作しやすい舞台だみたいなことが書かれていたことを覚えているのだが、虚々実々諸々取り混ぜて、お話を作っていくには、魅力的な歴史の狭間であるのだろう。
短編集ということで、ひとつひとつの作品では、面白みが味わえないのだが、この短篇連作によって描かれる世界の全体像は、なかなかに面白そうだ。そのうち、ジグそうパズルのパーツがはめ込まれていくにしたがって、それが明らかになってくるのだろう。

とりあえず、前作の「ジョーカー・ゲーム」を読んでみようかな。
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2010年07月12日

血戦 読了

楡周平の「血戦 ワンス・アポン・アタイム・イン東京2」を読み終わった。
ちょっと前に読んだやつの続編だ。
発行されたのが今年の3月ってこともあって、ストーリー展開は、麻生政権成立→リーマンショック→総選挙→自民大敗→政権交代って流れをそのまま取り込んでいる。
読んでいると、明らかに実在のこの人がモデルってのが分かって、現実に起きていることを早々と小説に取り込んでしまう売れっ子作家の目ざとさ・アザトサに感心した。
前作が上下二巻だったのに対し、ちょっと薄めの1冊ってことで、内容的にはこんなものかなって感じ。経済小説でもなければ、政治小説でもないし、ましてやミステリーでもなく、中途半端さは否めない。所々に散見される権力と社会変革ってあたりをもうすこし突っ込んで膨らませれば面白くなりそうな気がするんだけどな。
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2010年07月05日

凶弾 読了

逢坂剛の「凶弾」を読み終わった。
彼の作品は、スペイン物と神保町界隈を舞台にした物、それにこの禿鷹シリーズは、結構おもしろいんだけど、西部劇物とか時代劇ものは、あまりに軽薄すぎて、つまらない。
そんなわけで、しばらく読んでいなかったのだが、禿鷹シリーズの簑新刊が図書館にあったので、借りてみた。
読後感は、つまんないである。
やたら無意味に人が殺されるし、物語の基本となる神宮署の裏帳簿を巡っての暗闘っていうのに、全然リアリティがない。
いろんな分野に手を出しすぎて、才能が枯渇しつつあるのかしらん? と思ってしまう。
練りに練ったスペイン物の長編とか読んでみたいんだけどなぁー
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2010年06月27日

SOSの猿 読了

伊坂幸太郎の「SOSの猿」を読み終わった。
読み始めてすぐに、主人公がイタリア留学をして、エクソシスト(悪魔祓い師)の経験があるって設定にちょっとびっくり。
実は、現代のイタリアには、黒魔術の信者がいたり、ヴァティカンが公認する悪魔祓い師が存在していて、特にトリノには、悪魔憑きが多いって話を以前から聞いていた。だから、例えば、ダ・ヴィンチ・コードなんかも、作り話ではあるのだけれど、もしかしたらあるかもしれないっていうリアリティを感じていたりしたわけで、そんな話が、日本人の書く小説に出てきたので、驚いたわけだ。
だが、読み進むうちに、そういったリアリティとはかけ離れた小説であるってことが分かってきた。

悪魔憑き+西遊記って話で、主題は暴力の是非論を物語りにしたもので、ひきこもりやDVを織り交ぜながらのファンタジー小説ってことになる。
最後の後書きを読むと、同じテーマで漫画も創作されているようで、それと対になっていると書かれていた。
どうりで、今まで読んだ伊坂ワールドとは趣きを異にしているわけだ。
章立てが、登場する人物ごとに、語り手=一人称を変えていて、こういった手法は、大ヒットした1Q84と似ている。

それなりに楽しめたけれど、なんか中途半端な作品って感じは否めない。
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2010年06月18日

デパートへ行こう! 読了

真保裕一の「デパートへ行こう!」を読み終わった。
かつての彼の作品を彷彿とさせる小説で、そこそこ楽しめた。
経営危機にある老舗のデパートの創業百年祭が終わるという日の前夜、様々なしがらみにより、本店に引き寄せられて来た人々が、閉店後の深夜のデパートで繰り広げる人間模様ってのが、その内容だ。
いろいろな事情を抱えた登場人物たちが、ある目的のために、様々な策略を巡らしていくっていう「奪取」っていう彼の作品があるのだが、ちょっとそれを思い出してしまった。

ただ、物語の進行を、地の文章で進めていくのではなく、登場人物に語らせてしまって、かなり無理くり進めて行ってしまうところは、アイデアが秀逸なだけに、雑な感じがしてしまった。

明智光秀をテーマにした「覇王の番人」が、実に丁寧に書き込まれていただけに、この作品も、もう少し丁寧に書き込んでいれば、さらにおもしろいものになったと思うのだが、残念だ。現代を舞台にした彼らしい丁寧な作品を読みたい。
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2010年06月11日

廃墟に乞う 読了

佐々木譲の「廃墟に乞う」を読み終わった。直木賞受賞作品である。
彼の作品は、「警官の血」を読んでいる。
この作品もいわゆる警察物の範疇にはいるのだろうが、設定がちょっと変わっている。
ある殺人現場に立ち会ったことで、強いショックを受け、精神的なバランスを崩してしまって、休職中の北海道警察の刑事、仙道が主人公である。
日本のハードボイルド小説の設定としては、現役警官か、警官を退職した私立探偵ってのが相場なのだが、どちらとも言えない、休職中の警官って設定は、ニッチな部分を狙った感がある。
構成は、休職中の警官に、民間人から持ち込まれるいろいろな事件の依頼を、公務ではないのだけれど、依頼者と警察の捜査員をつなぐ形で、仲介するってことになっている。
それぞれの事件は短篇で、短篇連作の形式である。
親子孫に渡る三世代の歴史小説的性格の、「警官の血」は、上下二巻に渡り、時代背景も含めて、書き込んであって、読み応えのある長編小説であったのに対し、この作品は、着想はおもしろいのだけれど、短すぎて、面白みに欠ける。
設定自体が、ある意味宙ぶらりんの警官ってことなので、致し方ないのかもしれないけれど、期待したほどではなかった。
直木賞作家となる実力はあると思うけれど、どうしてこの作品で直木賞を受賞したのか、首を傾げてしまった。
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2010年06月08日

桐島、部活やめるってよ 読了

朝井リョウの「桐島、部活やめるってよ」を読み終わった。
最近話題になっている小説すばる新人賞受賞作品である。
作者は1989年生まれ。実に若い。でも、読んでみて、天性の才能ってものはあるんだなって感じ。
文章の端々にキラリと光るものがある。
バレー部を止めてしまった桐島を取り巻く高校生たちを、それぞれの視点から、個人名の章立てで描いている。
多くの登場人物を、こういった形で交通整理して、作品に仕上げるっていうのは、若い書き手の一つの手法として有効だと思った。
こういった作品を書きながら、複雑な人間関係を統合した長編小説ってものを書く訓練ができていくのかもしれない。
特に「宮部実果」の章は、膨らませればこれ一つで作品ができそうな濃い内容。また、最初と最後に2度登場する「菊池宏樹」の最後の締めの章は、若者の苛立ちが実にうまく表現されていた。
もしかしたら、作者にもっとも近いのが、この「菊池宏樹」なのかもしれない。
いい年のおじさんにとっては、懐かしい感じのする高校生たちの日常があり、その中で作者は、それを突き放したように、実に客観的に描いている。
なんだか、今の若者たちの世界を覗き見るようでもあり、同時に、かつての自分の高校時代を振り返り、懐かしさと共に、自らの歩んできた人生をほろ苦い思いで見つめ直すような、そんな小説だった。
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2010年06月03日

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 読了

楡周平の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京」上下 を読み終わった。
1968年から40年以上が経ち、こういう小説が出てきたかって感じがした。
東大の安田講堂に籠城した学生運動の活動家と当時ノンポリだった東大生が、その後の社会の中で、政治権力の頂点に登りつめるために様々な手を使い、伸し上がって行くってのが物語のあらすじだ。
作者は1957年生まれってことだから、時代的に当事者ではありえなかったわけだが、いかにもありうそうな話としてよくできている。

この作品は、テレビ朝日でドラマ化もされているらしい。僕は見ていないけど、、、さらに、今年に入って、続編も書かれているそうだ。

68年以降に生まれた世代は、意識するしないに関わらず、当時の学生運動やヒッピームーブメントの影響を受けている。僕も普段はジーンズしか履かないのだけれど、これだってそうだ。

これまでも、時々そういった68年の学生運動の影響について語られることはあったし、例えば矢作俊彦の「スズキさんの休息と遍歴 またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行」なんて小説もあった。

しかし、当時学生だった人間が、現在の政治権力を獲るってことを正面に据えて描いた小説は、僕は初めて読んだ。
ただ、学生のころの理想と現実の政治における理想みたいなものは置き去りにされてしまって、権力を如何に手中にするかって話になっていて、じゃあ権力を獲った時に、どんなことをしたいのか?ってのが何も見えてこない。まあ、エンタテイメントなので、致し方ないけど、、、、

当時の活動家たちも、老齢期に差し掛かり、これからいろんな意味で、あの時代を総括する文章がでてくるのかもしれないと思ったりもする。

なにより、熱く革命を語っていた若者たちが、その後どのような人生を歩み、現在どうしているのかってことは、とても興味がある。革命は成らず、共産主義は敗北し、資本主義は混迷の度合いを増している今、あのかつての若者たちは、何を考えているのかってのも知りたいところだ。
誰かノンフィクションで、そういう作品を書かないかな?
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2010年05月23日

ドント・ストップ・ザ・ダンス 読了

柴田よしきの「ドント・ストップ・ザ・ダンス」を読み終わった。
「流星さがし」を読んで、ちょっと面白かったので、同じ作者の本を図書館から借りてきた。
読み始めてすぐに分かったのは、どうやらシリーズものらしいということ。
それも、いわゆるハードボイルドものらしい。
ネットでちょっと調べてみると、ファンもいる「花咲慎一郎」シリーズであることが分かった。
大沢在昌の「新宿鮫」シリーズのような硬派ではなく、もう少し柔らかいハードボイルドって感じ。
保育園の園長と私立探偵の二足のわらじを履く花咲慎一郎=通称ハナちゃんが主人公。
シリーズを通して読んでいないので、物語の端々に出てくる過去の話は分からないのだけれど、十分に楽しめた。過去の作品から、読んでみようかなと思う。

この手の作品っていうのは、主人公にきちんとした倫理観が設定されていることで、途中説教臭くなるところもあるけれど、物語が進んで行くところがあって、その倫理観を受け入れられないと、読んでいてストレスが溜まる。
この作品も、作者の年齢にふさわしい、ある意味一般受けする凡庸な倫理観が設定されていて、まあ安心して読むことができる。
説教臭い部分も、子供を育てる保育園の園長って設定が、うまーく作用している。
アクションいっぱいの硬派のハードボイルドではないけれど、これもありかなって気がする。
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2010年05月19日

無理 読了

奥田英朗の「無理」を読み終わった。
「空中ブランコ」で直木賞を受賞した作家である。
受賞前から読んでいるのだが、「イン・ザ・プール」や「空中ブランコ」などの、いわゆる伊良部シリーズは面白くて好きだ。
一方、彼には、漢字二つの作品がある。「邪魔」「最悪」がそうだ。この「無理」もそのカテゴリーに入る。
軽妙で、読みやすく、笑いのある伊良部シリーズに対して、漢字二文字作品は、いずれも重くて、読みづらく、暗い。
最初に「邪魔」を読んだときは、何度投げ出そうと思ったことか。それに比べるとこの「無理」は、まだ読みやすい。また、漢字二文字シリーズは、長い。それだけ作者が力を込めているってことなのだろうが、伊良部シリーズの軽妙さをイメージして、読むと、がっかりするかもしれない。

東北の地方都市を舞台とし、季節は冬。寒さと雪に降りこめられた人々の「悲惨」が、これでもかって感じで描かれていく。登場人物は、雑多。多くの人々を描くことで、北の地方都市の閉塞感を、立体的に描こうとしているのかもしれない。
ただ、最後に大団円を設けているところが、以前の作品とちょっと違うかも、、、いかにも小説って感じのこじつけではあるけれど、、、
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2010年05月07日

流星さがし 読了

柴田よしきの「流星さがし」を読み終わった。
全く知らない作家だったのだが、図書館で目についたので借りてみた。
京都の人権派弁護士事務所から東京の大手弁護士事務所へやってきた、若い駆け出しの弁護士が主人公。その彼が担当する事件がオムニバス形式で描かれている。いわゆる短篇連作ってやつだ。
この形式は、垣根涼介の「君たちに明日はない」と同じだ。
読みやすいと言えば読みやすいけど、読み足りないっていうか、もう少し話を膨らませてくれるともっと面白いのにって思ってしまう。
通勤途中でお気楽に読むにはいいかも。
後、最近思うのだが、この本も含めて、使われている写植の書体が、どうも僕の目にはしっくりこないことが多い。昔の活版印刷とまでは望まないが、本を1冊デザインするときに、読みやすい書体を選んでほしいもんだ。
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2010年05月04日

巡礼 読了

橋本治の「巡礼」を読み終わった。
実に久しぶりに、彼の本を手に取った。
大昔、「桃尻娘」シリーズや映画評などは、よく読んでいたのだが、ここ最近は、とんとご無沙汰していた。
内容は、ゴミ屋敷とその周辺住民の話である。しかし、そこは治ちゃん、都市近郊の街がどのように発展し、そこにはどのような家族の歴史を持つ住民たちが住んでいるのかってことを、作り話ながら、結構掘り下げて描写している。
当時、桃尻娘たちの高校生の会話が、実にリアルだったのだけれど、この作品でも、彼女達が年を取ったであろうおばさんたちの会話が、面白かった。
主人公ともいえるゴミ屋敷の住人である老人(男性)の心理描写がいまひとつって感じはしたのだが、小品なので致し方ないか、、、
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2010年04月30日

砂漠 読了

伊坂幸太郎の「砂漠」を読み終わった。
仙台の大学に通う若者たちの4年間を描いた作品だ。
昔、モラトリアムって言われた大学生活4年間の雰囲気をうまく描写している。
麻雀やスプーン曲げ=超能力なんていうスパイスもまぶされて、今時の学生の合コンとかもあったりして、彼らしい読者をくすぐるストーリー展開になっている。
ちょっとビックリしたのは、彼の年齢では知らないだろうと思われる、例えばジャズ奏者の「阿部薫」が出てきたり、船が山を登るヘルツォーク監督の映画「フィツカラルド」が出てきて、かなりの耳年増?なのかと思ってしまった。パンクバンドのラモーンズやクラッシュもそうだ。
タイトルの砂漠とは、ヌクヌクと保護された大学生活の後に、社会に出て広がっている現実の厳しさを表しているようなのだが、これもあくまでも大学生の視点から見たイメージでしかなく、具体的に描かれているわけではない。
これも、自分を取り巻くまわりの世界とその外側に広がる未知、あるいは自らの力では変えようのない世界っていう彼がしばしば描いているパターンである。
ストーリー展開とは関係なく、所々に、なるほどそういう見かたもあるのねっていう部分もあって、そういう所は新鮮に感じた。
ただ、本当に現実と向き合うっていう大変さを微妙にずらしていて、軽い読み物にしているのが、彼らしいといえば彼らしいのかもしれない。でも、読んでいて引き込まれるのは、多少の説教臭さを含めて、作者の価値観が表現されていて、それは違うとか、そりゃそうかもって思わせる大沢在昌や宮部みゆきの小説の方が、僕は好きだな。
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2010年04月24日

クローズド・ノート 読了

雫井脩介の「クローズド・ノート」を読み終わった。
図書館で、やけに多くの人が借りているらしいってことで、借りてきたのだが、例の沢尻エリカが主演して、挨拶の時の不貞腐れた態度で有名になった映画の原作ってことは、正直言ってまったく知らなかった。もちろん映画も見ていない。
そういうわけで、何の先入観もなく読み終わったのだが、読み始めて3分の1くらいで、結末が予想できてしまう。ただ、自分の予想した結末と同じなのか違うのかって興味のみで読み進んだ感じだ。
結末は、やっぱり予想通りで、小説としては、まあこんなもんかなって思う程度の出来だ。
巻末にある参考文献に添えられている作者の文章を読むと、それなりの思い入れを持って書いた作品らしいのだが、作者の気持ちと裏腹に、あまり想いは伝わってこなかった。僕が鈍感なだけかもしれないけれど、、、
読後感が清々しい、青春恋愛小説の小品ってところかな?
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2010年04月17日

カラスの親指 読了

道尾秀介の「カラスの親指」を読み終わった。
以前読んだ「龍神の雨」は、たいして面白くなかったのだけれど、この作品は面白かった。
いかにも若手の作家らしく、章立ては様々な鳥の英名が当てられている。
ヤミ金の被害者が詐欺師となって、そのヤミ金業者の他の被害者とともに、復讐するって話なのだが、結末は大どんでん返し。ネタバレになるので詳しくは書かない。

宮部みゆきの「火車」や真保祐一の「奪取」、高村薫の「レディー・ジョーカー」を思い出させるストーリー展開で、久々にページをめくるのが楽しかった。

今の僕は、ストレスが溜まる一方の生活なのだが、面白い本を読んでいると、一時でも現実逃避できる。ただ、なかなか作品世界に埋没できるような本とは出会わないのだけれど、、、、
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2010年04月12日

遥かなる水の音 読了

村上由佳の「遥かなる水の音」を読み終わった。
「ダブル・ファンタジー」で30代女性の性愛を描いた後、どっちに向かうのか知らん? と思っていたのだが、こう来ましたか! って感じだ。
描かれているのは、老域に達したフランス人男性と若い日本人男性の愛の話。そこに国際結婚を望む40代の日本人女性やら、幼なじみから恋人へと移行する若いカップルが絡む。そして舞台はモロッコ。
フランスの同棲制度についても割とちゃんと書かれているし、モロッコの描写はきちんと取材したんだろなと思わせる。
ストーリーはともかく、アルヘシラスからタンジェを経てマラケシュへと向かう旅の描写に、大昔行ったモロッコの風景が思い出されて、僕的には面白かった。
小説の中と違って、サハラまでは僕は行けなかったのだけれど、機会があればまたモロッコを訪れ、サハラを見てみたいなぁーと思ってしまった。
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2010年04月05日

太陽を曳く馬 読了

高村薫の「太陽を曳く馬 上下」を読み終わった。
これは、「晴子情歌」、「新リア王」シリーズの完結編ってことらしい。
実は、「晴子情歌」も「新リア王」も図書館で借りて、読み始めてみたものの、途中で投げ出している小説で、今回のこの作品も、途中で何度投げ出したくなったことか、、、

どうにか読み終えたのは、主人公が合田だったからもしれない。彼が登場した作品「レディ・ジョーカー」は、実に面白かったからだ。

それにしても、精神疾患、現代美術、死刑問題、オウム真理教、9,11テロなどをひとつの小説に投げ込んでしまったためだと思うのだけれど、読みづらく、難解で、ある意味作家のひとりよがりって部分もあるような気がする作品だ。

上下二巻を集中して読める時間があれば、作者が何を言おうとしているのかが、もう少し汲み取れたのかもしれないけれど、毎日の通勤で、ぶつ切りにしながら読む小説ではない。
いろいろと知的刺激を受ける作品ではあるだけれど、今の僕には、ただただ疲れたって読後感しかもたらしてくれなかった。

本の面白さっていうのは、それを受け取る読者の側の状況によって、同じ物を読んでいても全然違う評価の仕方がなされることだと思うのだけれど、少なくとも現在の僕の置かれている状況では、全然面白くなかった。
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2010年03月21日

ニサッタ、ニサッタ 読了

乃南アサの「ニサッタ、ニサッタ」を読み終わった。
この作家の名前は、以前から目にしていて、一度は読んでみようと思っていた。
たまたま図書館で、新刊本のコーナーにこの本があり、借りてみることにした次第。
カテゴリーとしては、芥川賞作家だから、純文学になるのかもしれないが、文体は読みやすい。
内容は、作家の年齢(1960年生まれだそうだ)とは違って、いわゆる青春小説になるのだろうか?
何をやってもうまく行かない若者の、自分探しの小説と言っていいのかもしれない。
タイトルの「ニサッタ」とは、アイヌ語で明日のことだと、最初の裏扉に書かれている。
読み始めた時点で、いずれアイヌのことが出てくるのだろうと予感させるのだが、話の方は、アイヌとは全然関係なく進行する。
終盤に差し掛かるまでは、全く暗い小説なのだが、一番最後で、希望を与えてくれる。
まんまと作者に乗せられてしまう展開だ。
読後感は、吉田修一の「悪人」にちょっと似た感じだった。
物語世界に引きずり込まれるってほど吸引力のある作品ではないけれど、読み終わって、なかなか面白かったと感じさせてくれる作品ではある。
読みやすい文体なので、別の作品も読んでみようかなぁ と思った。
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2010年03月11日

張り込み姫 読了

垣根涼介の「張り込み姫 君たちに明日はない3」を読み終わった。
まあ、はっきり言って、どうでもいい小説なのだけれど、このシリーズの1・2と読んできたし、NHKの土曜ドラマにもなったということで、ある意味惰性で読んでしまった。
さすがに売れっ子作家だけあって、リーマンショックの影響なんて話も盛り込んである。
以前も書いたけれど、短篇連作でシリーズものってのができる実に巧みな設定を見つけ出したのはなかなか良いアイデア。
今後も4・5と続きが書かれるのだろうなぁ
posted by tady at 22:16| ローマ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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